「佐為は、幽霊なんだよね。」
『ええ。幽霊ですね。』

佐為が私に転生してから、もうどれくらい経っただろう。それから幽霊の恋人を持ってからもどれくらい経ったんだろう。
相変わらず私たちは触れ合う事だって出来ない。
手をつなぎたくても、無理で。キスがしてくても、無理で。身体を重ねたくても、無理で。

「でもいいよ。例え佐為の事が見れる人が私とヒカルだけだったとしても、私はそれでもいいの。」
…。』

ただそばにいることしかできない私たちだけど、でも私は本当にそれだけでいいの。
私はあなたと出会えて本当によかったし、こうして二人で過ごせるのも本当に嬉しい。
あなたがいるだけで、私はシアワセ。

「私ね、とっても怖いの。」
『怖い?』
「うん。佐為、いつかは…いつかは佐為は消えちゃうでしょ?」

佐為は幽霊だから本当はこの世に留まってないで早く成仏して、生まれ変わらなきゃいけないのに、
この世の理を無視して囲碁と、そして私のために留まり続けてる。そんなことが、いつまでも出来るわけがない。
そんなこと言って、私だって別にこの世界のルールを知っているわけじゃないけどね。

「だから、」

佐為がいつ去っちゃうかわからないから、毎日悔いがないように佐為とぶつかってくね。
いつかそのときがきたら私、追いかけて自殺しちゃうからね。これって、心中になるかな?
愛する人と来世で結ばれたいから、死にます、ってね。ねえ、次の世界でも私たち愛し合えるかな?
そのときはそうだね、手をつないで、チューして、いわゆる男女の営みとやらをしてみましょうか。

「佐為、好きだよ。」
『私もです。好き、いいえ、愛しています。』
「ずっと一緒だよ。来世でも。」
『勿論です。』




いつか去っていくきみへ

来世でまた会おうね!
 

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