「鋼牙くんてさー」

 わたしが言葉をかけると、鋼牙くんはうれしそうな顔になった。その様は、さながら犬のようでなんだか可愛い。なんて、鋼牙くんにいったら怒られそうだけど。

「なんだ!?」
「野性的だよね」
「おーありがとよっ」

 鋼牙くんは本当に嬉しそうで、わたしもつられて嬉しくなった。わたしが言葉をかけるだけで鋼牙くんは今みたいな反応をする。何が嬉しいんだかわかんないけど、わたしとしても嬉しいから、鋼牙くんと話してると両得って感じがする。正しい表現かは分からないけど。

「鋼牙くんてさー」
「おうっ!」
「なんでそんなに嬉しそうなの?」
「決まってんだろ! と話してるからだぜ」

 これまた笑顔で嬉しいことを言ってくれますこと。わたしは小さくありがと。って呟く。

「鋼牙くんてさー」
「なんだっ?」
「可愛いよねー」
「か、可愛い? それを言うならだろ! ほんとに可愛いぜ?」

まっすぐな言葉にわたしの胸がドキッとした。
なんて可愛いんだろ、心の底から思った。犬夜叉と違って、隠そうともしない感じがすごい。

「鋼牙くんてさー」
「おう」
「わたしのこと好きでしょ?」
「大好きだぜ! ったりまえだろーっ」

 自分で言っといてめちゃくちゃ恥ずかしい……! なんで鋼牙くんて、こんなにまっすぐなんだろ。見習いたいぐらいの、ストレート。 わたしはドキドキウルサい心臓をシカトして、ふるえる口で言葉を紡ぐ。

「わたしも、好き」
「………ま、まじで?」

 あ、わたしが教えた言葉使ってる。わたしが無言で頷けば、ぶつぶつと隣で何かをつぶやき始めた。

「え、と……。俺はが、好き。は、俺を好き。つまり……あれ?」

 顔がだんだんにやついてきてる。理解してきてるみたい。目を見開いて満面の笑みになり、わたしのほうへ顔を向けた。

ーッ!!」

 ある種雄叫びのようなものをあげて、わたしをぎゅーっと抱きしめた。突然のことにわたしの頭は真っ白になって、思考が停止した。

「こーがく……」
「俺はにこういうことしてもいいってことだよな!?」
「うん、そういうことかな」
「やったー! ずっとこうしたかったんだ。……」

 首もとに顔を埋めた鋼牙くんが切なげにわたしの名前を呼ぶから、わたしの心臓がますます早鐘を打つの。わたしと鋼牙くんのラブストーリーの始まり。



君と僕のラブストーリー