一番下までおりたところにある、風呂場のようなところまでやってきた。
しかしなんだか酒臭い。桃果人はかごめを地面におろし、手を添えるとかごめは
みるみるうちに元のサイズに戻っていった。そこへ猿のような動物(しかも着物を着ている)
がやってきてかごめの服を脱がしていき、みるみるうちに裸になってしまった。
(……止められないのが悔しい。ごめんね、かごめ)
猿は桃果人にかごめのセーラー服を渡すと、かごめを湯船のようなところにつからせた。
桃果人はそれを見届けると、きびすを返した。すると急に体中に力が漲ってくる。
「!いつもの姿じゃ!」
「や、やっぱり?なんかいま力が急にでたの。」
それからすこしして、どこに続くかはわからないが、とりあえずどこかの部屋に続く扉をあける。
「なんだ、まだ生きてるのか」
何かと思って桃果人の視線をたどると、茨に巻き付かれていて、血みどろの犬夜叉だった。
しかも髪が黒く、耳も犬耳でなく、人間の耳になっている。
これが人間の犬夜叉。
「犬夜叉だよ!」
「茨に巻き付かれてますな……大丈夫でしょうか。」
桃果人はかごめのセーラー服を地面に放り投げた。
「飛び移りましょう!」
「えっ!」
「大丈夫です、さぁ!」
弥勒が飛び降りる。今しかかごめのセーラー服に飛び降りるタイミングはない。
も意を決して飛び降りようとしたそのとき、急に手から力が抜けて、降りると言うより落ちた。
「い……痛」
思い切り全身を強打した。
クッションであるセーラー服があったとはいえ、やはり痛い。
「なんだその顔」
「かごめ……女はどうした!?」
桃果人は犬夜叉の目の前においてあった壷に座り込んだ。
ビシッといやな音が聞こえてくる。壷が割れたら何かが流れてくるのは確実だけにどきりとする。
「心配すんな、すぐあわせてやるよ。俺の腹の中でな。」
「く……喰ったのか!?」
「くだらねえこと聞くなよ。人間なんて喰うしかねぇだろ。」
桃果人が真っ赤なうそをついた。
なぜだかわからないが、明らかにそれが犬夜叉の怒りを誘った。
「くっ……許さねえ!」
犬夜叉が桃果人に襲いかかろうとするが、茨を引きちぎることはできない。
「へへへ、無駄だ。その蔓は絶対切れねえよ。」
なるほど、犬夜叉を怒らせて茨によって傷つかせ、いたぶっていくのが目的だったのか。
「この小さい体でどこまで吸えるかわからないが……」
といい、弥勒に庇うように抱きしめられ、弥勒は風穴を開いた。
近くで轟々とすさまじい音が聞こえる。というよりそれしか聞こえない。
すぐに風穴は閉じられたが、その次には何かが近くに崩れ落ちてくる音が耳をつんざいた。
「待ってろかごめ!!いま腹かっさばいて……!」
「犬夜叉!!」
「……お前ら」
弥勒の抱きしめる力が弱まったので弥勒から離れると、すぐ隣に茨が横たわっていてぎょっとする。
「も、お前らいつの間にか。」
「後を追いかけてきたの。」
「犬夜叉、かごめさまはここの一番下にいます!」
「生きてるのか…?」
「はい。ですから、急いで!」
犬夜叉の着物の襟元に入り込んで、かごめのもとへ急ぐ。
「大丈夫かな、かごめ」
「桃果人が食べる気だったんですから無事は無事でしょう。」
など会話してる間に、かごめのいるところへたどり着き、犬夜叉は扉に思い切りタックルした。
「ぎゃ!」
犬夜叉にとってのタックルは小さいにとってものすごい速さなので、
呼吸もできないほどの強風を一身に受けるが、襟に捕まりなんとかしのぐ。
「かごめ!」
「犬夜叉!」
「あ…」
「おお」
犬夜叉の間の抜けた声と、弥勒の感心したような声が聞こえてくる。
なんだと思って、ぐらぐらする頭を奮わせて目の前を見ると、裸のかごめが湯船の中でたっていた。
「きゃっ!」
かごめの悲鳴で我に返った犬夜叉がくるりと向きを変え、ずるずると座り込んだ。
なるほど先ほどの弥勒の感嘆は、
「見たのね」
「不可抗力です。」
全員集合