(あれが、…。)
起き上がり辺りを見渡しながらぼんやりと思い出す。弥勒もかごめも七宝も寝ていた。
朝方だろうか、まだ薄暗かった。もしも朝方だったら随分と寝ていたようだ。
寝れた気はまったくもってなかったが、眠気もなく、身体も軽い感じからするときちんと寝ていたのだろう。
外へ出ると犬夜叉がいた。のにおいに気付いたのか振り返った。
「よぉ、起きたのか。」
は犬夜叉の隣に行った。
「おはよう。」
「おー。」
どうやらまだ朝日は昇っていないようだった。
「昨日、夜にかごめたちは起きたんだけどだけどれだけ起こしても起きなかったんだぜ。」
「……わたし、夢をみてたの。」
きらり、遥か遠くに光が射した。予想どおり朝方だった。
「に会ったの。」
「!?ほんとか?」
オーバーと思えるくらいのリアクションをいただき少し笑うと、朝日が完全に姿を現した。
「穏やかな笑顔がすごい似合う人だったけど、影がある人だった。」
そしてそれがとても似合っていた。
美しいだけでなく、憂いがある儚そうな妖怪。下手したら人間よりも脆そうな様子だった。
「ああわかる気がする。たまにすごい悲しそうな顔するんだ。」
「でね、難しいこといわれた。」
「なんつーかアイツ、結構訳わかんねぇこと言うよな。」
「そうそうっ。」
妙な盛り上がりをみせるトークの途中、急に犬夜叉との間に何かが入ってきた。
「おはようございます、。」
「!?弥勒、いつのまに……!」
「お、おはよう。」
犬夜叉ともあろう者が弥勒の気配に気付かなかったようで、心底驚いている。
「てめえ邪魔だ、どきやがれ!」
「朝から煩いですね。、川に顔を洗いに行きませんか?」
「あ、そうだね。」
「水が冷たくて目も覚めますよ。」
「おい俺も行く!」
さっきまで穏やかに会話していた犬夜叉が嘘のようにぎゃーぎゃー喚いていることに驚きつつ、
助さんもとい弥勒と、格さんもとい犬夜叉に挟まれ、水戸黄門もといは川へ向かって歩いて行く。
「昨夜は随分と深く眠っていたようで。」
「みんな夜に一回起きたらしいね。」
「ええ。それで寝顔を拝見しようと思ったのですが犬夜叉が監視をしていたので見れませんでした。」
「ったりめーだ。なんでおめぇに見せるしかねぇんだ。」
なぜ犬夜叉が見ていいことになっていて、監視を勤めているのかは謎だが、そんなことよりもこの世界、
というか時代は空気が澄んでいるし、自然が綺麗なのでいちいち感動する。
あまりに綺麗すぎる景色に視界が奪われる。
「、なにをきょろきょろとなさっているのです?」
「自然がすごい綺麗だなあって思って。」
「こんなのどこでも一緒だろ。」
「わたしの住んでるところは緑ほとんどないもん。」
「の生国はどちらなのですか?」
「んーなんていうか、400年ぐらい先の未来からきたの。」
自分で説明して改めて思ったのだが、随分と嘘臭い話だと感じた。
こんな話、普通の人なら信じないだろうし、下手したら病院を受診するよう勧められるだろう。
まあこの時代に病院はないだろうが、。77.
「ということは400年先のおなごは皆このような短い着物を召しておられるのですか。いやはやいい時代ですな。」
疑いをかける言葉ではなく、弥勒らしく軽口で返してきた。
ああ、信じてないな、と思い弥勒を見上げれば、思いの外ふざけの色は見えなかった。
「……信じてくれるの?」
「にはかには信じがたいですが、他ならぬの話となれば別です。を疑うわけがないじゃないですか。」
「ふうん。」
「……どうやらあまり信用がないようで。」
そういって寂しそうに笑った。そういえば昨日自転車に載っていたときもこのような件があったかもしれない。
でも本当は心のそこから嬉しかった。信頼に勝るものはきっと、ない。
「いっとくが俺も信じてるぜ。」
「うん、ありがとうねー。」
論より証拠とはもっともだ。しかし、この時代の犬夜叉は行けるのに、
向こうが本当の故郷であるが行けないとは不思議な世の中だ。
「……なんだか犬夜叉にやさしくないですか。」
「え、そんなことないよ。」
「嘘です。」
「ざまぁねぇな。」
犬夜叉が鼻で笑ったところで、川にたどり着いた。
しゃがみこみ、川の水で顔を洗う。やはり水は冷たくて、目が覚める。
喉も乾いていたので序でに潤す。
「あ、かごめと七宝置いてきちゃったね。」
「ほっとけほっとけ。」
「おすわり。」
「ふぎゃん!」
かごめさまと七宝のご登場。
一同顔を洗い、楓の屋敷に戻ると朝ご飯ができていた。それをいただき、身支度をはじめる。
は楓に手伝ってもらって、制服姿に不釣り合いながらも腰に鞘を結び付け、黎明牙を装備した。
新しく加わった重さに新鮮な気持ちになる。
「似合ってるぞ。」
「そう?まあ、ちょっと強そうに見えるし、いっか。」
そして再び四魂のかけらを探す旅に出発した。
What a wonderful morning!