平次はすっごく鈍感。んもう、なんで気付かないの?って頭はたきたくなっちゃいます。
私的にはものすごいプッシュしてるし、まわりだってその努力は認めてくれている。
でも、肝心な平次が気付かない…!なにゆえ気付かない!?私はもっと頑張ったほうがいいのでしょうか…?

「平次!」
「んーどないした?」
「ちょっとお話があるんだけど!」
「いってみー。」

私が今から何を言おうか知らないから、軽〜いノリで平次が受け答えする。
そんなノリでいられるのも今のうちなんだからね。と、なんとなく優越感に浸る。

「聞いて驚いて。」
「願望になっとるやん。そこは、聞いて驚け!ってびしっと決めたってや。」
「だ、ダメだしですか…。」

夕暮れ時、一緒に家までの道を歩く私たちの会話は、関西人らしく、どこか漫才のやり取りのようだった。
ちなみに私は関東出身なので、関西弁ではないしそういったやりとりのスキルはまわりとくらべておとり気味だ。

「まあそういうのはさておき、どないした?」
「あ、あのね、本当は言わないで心の中にしまっておこうと思ったんだけど…」
「おう。」
「あ、あ、あ、のね…へ、平次のこと……好き、です…。」

立ち止まってカミングアウト。ものすごい心臓がばくばくしてるし、今すぐ逃げ出したい気分になってきた。
いっぱいいっぱいの私は平次の様子をうかがうこともできず、ただただ俯いて待つ。

「…マジか?」
「ま、まじ。」
「うおおおおおおおおっ!!!!」
「ちょ、え、平次…?」

いくら夕暮れ時だからといって、人だってそこらじゅうにいっぱいいるのに突如雄たけびをあげた平次。
あわてて平次を見ると、彼は恥ずかしげもなくガッツポーズをとっていた。恥ずかしい、恥ずかしすぎる!

!」
「うぁい!」

突然名前を呼ばれ、突然抱きしめられる。すべては突然で、私の理解を超えていた。
なぜ商店街の道中で抱きしめられて、人の注目を浴びなきゃいけないのか、この行動の裏には、
はたして私が望んだ結末があるのだろうか。

「マジか!?」
「まっ、まじです!」

腕にこめられている力が強くなった。

「俺も、好きやねん!」
「ほ、ほんとに!?」
「嘘なんてつかへん!めっちゃ好きやねん!」

ヒューだとか、あつすぎるやろー。だとか、冷やかしが耳を通り抜けて行くけど、まったく理解できなくて。
平次の言葉だけが私の頭にがつーん!と届く。

「俺な、てっきり俺のことなんてただの幼馴染程度にしか思ってないのちゃうんか思ってたんや。」
「そんなわけない!ずっと、ずっと好きだったもん!」

次々と胸にあふれてでる愛の言葉は、もはや歯止めが利かなくて、私も平次の背中に手を回した。
ごめんなさいね皆さん。今だけ私たちを、この商店街の主役にしてください。

…付き合ってくれへん?」
「喜んで…!」



君が好きです、すごく好きです。