「リサリサさまにあなたのことを頼まれました、・です。どうぞよろしくお願いします。」 「へェ〜、おれ専属ってこと? うひょーなんかすげェな!! おれはジョセフ・ジョースター。よろしくな。」 リサリサさまのお屋敷にやってきた彼。彼はこの国の人間ではないのですが、はるばる波紋の修行に来たらしいのです。そういった方は珍しくないのですが、若い方でしたので意外でした。 そしてそれに伴ってシーザーさまもお屋敷にやってきて、本格的な修行を始まるらしいです。イタリアには不慣れということでわたしは彼、ジョセフさまのお世話を任されたわけです。 「ジョジョって呼んでくれよ。」 「いいえ、ジョセフさまとお呼びします。」 「かてェこと言うなって!! おれそういうの気にしねェよ!」 「そのような問題ではありません。」 ジョセフさまに遠慮しているわけではなく、メイドとして主人の名前をあだ名で呼ぶなんて論外です。それに呼びたくもありません。 「にしても、おねェちゃんぜ〜んぜん笑わねーのな。なあ、ニッコリしてみろよ。」 言われたのでニコリ、口元をあげてみます。 「こっえー! おい、口だけで笑うなよ!! 笑顔ってしらねぇーのかよ!?」 「存じております。」 「女なのに笑顔の一つもできねェーの? 女の笑顔って、一番の武器じゃあねェーのかよ。」 「わたしに女の武器は必要ございません。必要なのはご主人様のご意向を100パーセント叶える力でございます。」 「なんだァーおい、ずいぶん可愛くネェ女じゃあねーの。」 そんなことを言われるのは慣れています。けれどもわたしは、そういうのが嫌いなのです。にこっと笑うのは媚びるような気がしてなりません。女の武器なんて、虫唾が走ります。 「おねェちゃん、笑ったらぜってーかわいいのによ。」 「御冗談を。」 「いンや、このジョジョさまの見立てに間違いはねェーぜ?」 なんだ、この方は。その意味の分からない根拠のない自信と、それに伴う自信ありげな瞳。にやり、と勝気に口角を上げるジョセフさまを見て、そんなことを思いました。 「うし、決めた。おれはここにいる間にぜってーお前のこと笑わせる!!」 「……はぁ。」 「覚悟しとけよ〜? へへっ!」 それから、ジョセフさまは思いつくたびにギャグをやったりしていました。勿論、修行外の時間でです。この人は波紋の修行をしてるというのによくそんなことにも力を入れられるな、と思います。シーザーさまもその様子を見てあきれているようでした。 「JOJO、くだらないことばかりやって、が困っているじゃあないか。」 「くだらねェことだってぇ〜? おめェーはこいつが笑っているところを見たかねェのか??」 「みたいなシニョリーナには勿論笑顔が似合う。だがしかし、お前がしていることはくだらなすぎる! もっとマシなやり方でを笑わせてみろ!!」 「あんだとーイタ公!!」 「やんのか?」 ……ああ、シーザーさまも笑わせることに関しては反論なさらないのですね。真面目なシーザーさまのことですから、修行に集中しろ! とでもいうかと思いましたが。 別にわたしは無理に笑っていないわけでないし、訳ありで笑えないわけでもありません。ただただ、人よりも笑わないだけなのに、なぜこんなにジョセフさまは笑わせようとするのでしょうか。 変な人。 ご主人様は自分のことだけ考えていればいいのですよ。 「なあ、お前いつになったら笑うんだよ? ジョジョさまがこーんなにやってるってのに、あの策士ジョジョさまが万策尽きたって感じだぜ。」 あのって、どの、ですか、まったく。 ジョセフさまに夕飯のお知らせに来たところ、そんなことをいわれました。 「面白いことがあれば笑います。面白いことがなければ笑いません。」 「あーそうだな、それは世の中の真理だ。」 「……なぜ、ジョセフさまはわたしを笑わせようとするのですか?」 「だって、、お前可愛いんだから笑ったらもっと可愛くなるだろ? それは世の中の真理だ。」 初めてジョセフさまに名前で呼ばれた気がします。おねえちゃん、お前、なあ、こうやって呼ばれてばかりで、まともに呼ばれたのはたぶん……いいえ、絶対に初めてです。だからどうとかいうわけではありませんが。 「笑顔に勝る化粧なしっていうだろ? が本気だしたらどんだけかわうィーのか見てみてェわけよ。」 「………はぁ。」 「……おれと一緒の墓にはいらねェか?」 突然の口説き文句、思わず笑ってしまいました。 「何を、言っているのですか。」 「……なんだよ、このタイミングで笑うんじゃあねぇよ、なんだか複雑な気持ちだぜ。本気で言ってるってのによォ……。」 ジョセフさまがなんとも複雑そうな顔で微笑まれました。 「でもやっぱり、お前、笑顔がかわいすぎるぜ!! 決めたぜ、一緒の墓にいれる!!」 「え、嫌です。なぜ墓に入るのが強制なのですか。」 ……可愛い、可愛いって、うるさいですね。心臓に悪いです。 「うるせえ、おれがそうっていったらそう、違うか?」 「むぅ、まあ、そうですが……。」 「とにかく、この戦いが終わったらメイドとしてじゃあなく、一人の女としておれと会ってくれよ。仕事じゃあない、プライベートでだ。そん時までに返事、考えといてくれよ。何も一緒の墓でなくても、オトモダチからでもいいからよぉー。よし、メシを食いに行くか!」 ジョセフさま、それは死亡フラグでは? 早々に部屋を立ち去ったジョセフさまの後姿をぱたんという音とともに呑み込んで閉まった扉を見て心中で言います。 (なんて勝手な人なのでしょう。もう…………どうしましょう、心臓が痛い。) もうあの人のすがたは見えないのに、心臓がいまだ早く動いて痛いのです。とにもかくにもわたしは、少し気が早いですが無事に帰ってくることを祈ろうかなと思います。お友達からでもいいのですから。 ドキドキ ドキドキ あンれ〜〜〜!?!? ジョセフ兄さんこんな人だったっけ?(笑) 当サイトでは初めてな、クールなヒロインでかいてみました。 |