、帝丹高校二年B組、花の女子高生。好きな人、います。その人はホームズオタクで、サッカーが上手で、でも超絶音痴で。女の子にモテモテで、ちょっぴりキザで。とても……素敵な幼馴染。

「うっす」
「おはよう、新一」

 家が近所のわたしたちは、一緒に高校へ向かう。わたしの家の前に時間になると新一がきて、一緒に向かっている。この時間が何よりも、好き。

「くああぁ〜……ねみぃなあ」
「また夜通し本でも読んでたの?」
「おー。部屋の掃除でもするかと思ったらよ、つい読み始めちまった」
「わかるよー、なんでか掃除ってできないよねえ」
「なー。ほんと」

 にかっと笑った新一の笑顔に、また胸がどきっとした。けれどその人にも、好きな人がいて、その人もとても素敵な幼馴染なんだ。二人が両想いなのは見ていて痛いほどわかるし、彼女のことも大好きだから、わたしはこの気持ちを胸にしまっておくと決めている。





うれしくって抱き合うよ
01.平行線のこの思いは





「あ、おはよー新一、!」
「うーっす」
「おはよー蘭!」

 ぶんぶんと蘭に手を振る。新一のことが好きな蘭と、蘭を好きな新一。新一のことが好きなわたし。複雑な関係だと思っているのはわたしだけ。なぜならこの気持ちは、二人とも知らないから。校門に入ったところで、蘭と会ったので合流した。

「そろそろ中間テストだよねー。なんかやだなあー」
「私、今回自信ないんだよなあ……」

 本当に自信なさげに蘭は言うけれど、なんだかんだできるのが蘭。なんだかんだできないのがわたし。いいなあーと、いつも羨ましく思う。

「ま、精々勉強しろよ」
「なによーいっつも余裕綽々なんだから」

 蘭が唇をとがらせていった。ああまただ。二人はいつも、楽しそうに意地悪を言いあう。好きな人に意地悪をしてしまう、というのは小学生の恋愛だが、二人はまるでそれだ。意地悪をして、気を引いている、そんなかんじ。

「仲がいいね」

 ふふ、とわたしは笑った。冷静に彼らを分析できるのは、この片思いもだいぶ長いからだと思う。一緒の場所にいるのが居たたまれない時だってあったけれど、二人が仲良くする姿なんて見たくないと思った
時もあったけれど(それは今もだけど)、一緒にいれる幸せはとても大きくて、それをわたしは捨てられない。
 まあもとより親同士だって仲がいいし、切っても切れない縁であるのも確かだ。幼馴染で、同じ高校で、同じクラスだったら、離れるのはとても難しいし、周りの目も痛いだろう。

「バーロー、これのどこが仲いいんだよ」
「そうよ」
「あっねえ蘭、今日の放課後暇?お勉強を教えてよ」
「あーごめんね……今日部活なんだ」

 蘭が申し訳なさそうに言ったところで、「俺暇だぜ」という声。

「ほんと?!」

 思いがけずうれしさが声色ににじんでしまった。やばいかな。と思ったけれど、この場合、勉強を教えてもらえる、っていうことに対してだということにもなり得ると思ったので、セーフ!

「おう。俺が教えてやろうか?」
「うん!」
「しゃーねーな」
「わたしも早く終わったらいくよ!」
「待ってるね」
「おめーはこなくていいっつの」
「なんでよー! 私だって勉強怪しいし―――」
「ちょっとまた痴話げんかー? んもー朝っぱらから熱いわねえ! からもなんとかいってやりなさいよ!」

ひらりとわたしたちの目の前に園子が現れて、ニヤニヤといやらしい笑顔を浮かべてそういった。
園子だって、わたしが新一のことが好きだなんて、夢にも思わないだろうなあ。

「ほんとだよねえ」

 わたしは頷いてそういった。心が痛いのに、それを隠して笑うことだって、同調することだって、わたしはできるようになった。
 でもね、自分を殺しているみたいで、たまにそんな自分が嫌になる。そして、誰にも何も相談できないこの恋は、この感情は、誰にとっても有益ではないんだな、と思い知る。

「あのなー、悪ノリしてっと教えてやんねーぞ?」
「ごめんなさい新一さま」
「よろしい」

 そういって新一は楽しそうに笑う。あ、また胸が締め付けられた。


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わあー始めちゃったよ!モー!!収集つかなくなるよーーー!!
あといくつ連載あるんだよー!!!!!でも始めちゃったよーーーーー!!!(笑)
だってだって!快斗も新一もかっこいいんだもん!!!
いまいち新一をとらえきれてない気もしますが、何とか頑張ってみます。
新一のお洒落にキザなところ、出していきたいなあー。
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