「へえ、ロバート・E・O・スピードワゴンに、ジョセフ・ジョースター。ここらじゃ聞かない名前だね。」

 もぐもぐと、朝食のクロワッサンを食べながら、わたしはその二人について思いを馳せた。どんな人なんだろう。シーザーを訪ねてローマにやってくるらしい。波紋使いで、あの柱の男を一人倒したらしい。いったいどんな波紋の使い手なのだろう。同じく波紋を使うものとして、興味はとってもある。

「ついてくるか?」
「うんっ!行きたい!!」

 わたしはぶんぶんかぶりを振った。それと同時に食べていたクロワッサンのパン屑が飛び散ったのは言うまでもない。それに対しシーザーが一瞬顔を顰めたのが見えたけど、まあそんなことはいい。
 今日、ホテルのレストランで電話がああ、楽しみ!

「なんだよ、、そんなに楽しみなのか?」
「そりゃあね。―――あ、違うよ。別にそういう意味じゃなくて。シーザー。」

 少しむすれたシーザーに、弁解するようにわたしは言葉をつぎ足す。

「わかってるよ。ごめんな、ちょっと心配になっただけだ。」

 申し訳なさそうに眉を八の字になった。なんて可愛い人なんでしょう。



その出会いについて





「なあんだァ〜〜〜!?このスパゲッティはァ〜〜〜!?!?」

 ……それは、こっちのセリフだよ。なあに、このバカっぽい大男は。これが柱の男を倒したっていう、男?とってもじゃないけど、信じられない。ネーロを見て、たいそう驚いている。
 このホテルのレストランに、スピードワゴンさんから連絡が来ると聞いていたので、やってきたのだが、わたしたちが入ってきて、間もなく、ジョセフ・ジョースターだ。とやたら大声で名乗った男が受付にやってきた。
 目くばせしてお互い確認しあう。まさかこちらに気づいていて、わざと大声で名乗ったのかと思い、ちらっと振り返って確認するが、寧ろフロントと話していて、そういうわけではないらしかった。

「ねえ、シーザー、わたし信じられないよ。」

 わたしたちの期待を返してほしい。柱の男を倒すため、どんなすごい人たちが来るのかと思ったのに。こんなバカっぽい男だったとは。

「まあ待てよ。まだ実力がわかったわけじゃあない。少し、試してみよう。」
「ん?うん。」

 ニヤリ、シーザーがいたずらっぽく笑った。ぽしょぽしょと作戦を耳打ちされて、わたしは大きくうなづいた。

「ンまあ〜〜〜〜い!!」

 どうやらネーロを気に入ったらしいジョセフ。
さ、作戦開始だ。

「最近このホテルも格が落ちた。田舎者が増えたようだ。」

 きょろきょろと、誰が田舎者なんだろう。と探している様子を横目に見て、吹き出しそうになる。が、ぐっと堪えて演技に集中する。シーザーとイチャイチャする場面。シーザーの甘いタレ目にじっと見つめられて、わたしもじっと見つめ返す。相変わらずかっこいいなあ。好きだなあ。

「これは君へのプレゼントだよ、シニョリーナ。」
「へぁ!? あ、これをわたしに? ねえ、なぜそんなテーブルの隅におくの?」

 これは話に聞いてない!
 シーザー、イチャイチャするとしか聞いてないよ。プレゼントって何?思わず叫んでしまったよ!抑えきれない感情の高鳴りを必死に抑えて、淑女を装う。

「それは、君が手を伸ばすところを見たいからだよ。その美しい手をできるだけ長い間見ていたい。」
「ふうん……。」

 手を伸ばしてプレゼントをとる。あけても?と目で問うと、頷くシーザー。
 もう、なんなのさ、プレゼントなんて。どきどきと胸が高鳴る。包装を開けて、中身を見ると、綺麗な赤いネックレスだった。

「綺麗! ありがとう……。」

 本当にうれしくて、お礼を言う。面食らったような顔をしたシーザーだったけど、すぐに我に返り、綺麗な微笑みを浮かべた。

「頼みがあるんだ、可愛い人。毎晩ベッドに入る前、このネックレスを外す時、必ず僕のことを思い出してほしいんだ。」

 半分同棲みたいなものなんだから、あなたを忘れることなんて殆どないんだけどね。それでもなんでだろう、どきどきするんだよ。

「ネックレスにおまじないをするよ、君に愛の魔法がかかるように。」

 わたしにネックレスをつけてくれたシーザーが、ネックレスにキスを落とす。

「そして君の唇にも魔法がかかるように。」

 そして次に、わたしの顎に手をかけて、顔を近づけてきた。その時だった。シーザーがすっと、マカロニを挟んだフォークを上げたと思ったら、そこに波紋で固まったパスタが入り込む。そしてそのフォークをくるりと回転させて、逆にジョセフのほうへ飛ばした。パスタ入りのマカロニは、ジョセフのワインのグラスに突き刺さり、間もなく波紋が抜けたパスタが元の柔らかさになり、反射的にちゅるんとそのパスタをジョセフは吸い込む。間もなくワインがマカロニの空洞からぴゅーぴゅーこぼれ出た。
 ふん、としたり顔のシーザー。

「シーザー・ツェペリ様。スピードワゴンさまから電話でございます。」

 ウェイターの言葉に、シーザーが顔を上げる。

「スピードワゴン……。ママミーヤ、すぐ行くよ。」

 そういって、ウェイターの顔を見ていた隙だらけのわたしの唇に、シーザーはすかさずキスを落とした。
や、やられた。



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今日はアニメでシィィィィィザァァァアアァアアアァァ!!!!!な感じでした。
涙、涙、涙。実に無様な姿でわたしはアニメを見ていました(笑)
そのうち、シーザー救済でしあわせな連載、かきたいなあ。その前にジョナサンとディオだ。
(13.02.23) ======================================================================