「、ちょっと私の話を聞きなさい」 「? なんですか」 いつの間にやらクリフトが後ろにいました。 「悪いことは言いません。早く仲直りをしなさい」 「……が悪いんですから、が謝るまで絶対に謝りません。絶対に」 こういうとき、わたしは頑固なのだなあと痛感します。この頑固が仲直りの邪魔をしているのをわかっているのですが、どうしてもから謝ってほしいのです。だってわたしは悪くないですもん。 「は相変わらず頑固ですねえ」 「むむっ! 余計なお世話です!!」 さすがクリフトです。わたしが頑固ということをしっかりわかっています。自分でもわかってることをほかの人に指摘されると、なんだかむっとしてしまうのはなんででしょう。 「それを言うなら、に言ってあげてください。早く仲直りをしたほうがいいですよ、と」 「私がそれをさんに言えるとでも?」 「うっ、確かに……」 もとはといえばクリフトと仲が良くて喧嘩をしたのでした。 「さんにはマーニャさんが言いに行っています。あなたたちに喧嘩なんてされては、調子が狂います。喧嘩してる時間がもったいないですから、さっさと仲直りするべきですよ?」 「だってー……」 「わかってますよ。私たちが喧嘩した時も、例えが悪くとも、絶対に私が先に謝ってましたからね」 「あれ、そうでしたっけ?」 「そうですよ!! 忘れたんですか! 都合のいい頭をしていますねは」 「へへへ」 都合の悪いことはすべて忘れてしまっているようです、この頭は。クリフトと喧嘩をしていた時期が懐かしいですね。思えばくだらないことで喧嘩をしていました。あのときは大ごとのように思っていましたが、今思えば、という感じです。いまわたしとが喧嘩しているのも、何年か後にはくだらないと二人で笑いあっているのでしょうか。 「たまにはから謝ってみてはどうですか?」 「やです」 きっぱりといいました。意地っ張りだといわれてもかまいません。何年か後ではくだらないことでも、今は大ごと。絶対にが悪いのに、わたしが謝るなんて腑に落ちません。 「意地っ張り」 「なんとでもいってください。人には、譲れないものがあるのですよ」 「かっこいいこといってるようですが、そうでもないですからね」 「ばれましたか?」 ただ仲がいいだけなんですけどね、なぜなんでしょうか。ちら、との様子をうかがうと、の取り巻きの女の子さんたちは消えて、マーニャさんと、アリーナさまがいました。今頃マーニャさんが説得してるのでしょうか、頑張ってほしいです。……ん、なんか思いのほか楽しそうですね。ちゃんと説得してくださいよね、ほんと。 「本当に、意地を張らせたら天下一ですね」 クリフトがあきれたように言いました。 「確かにわたしは意地っ張りですけれども! 今回ばかりはわたしは100パーセント悪くないので、謝りませーーん!」 「ですが、あの時、そう、“本当は俺よりもクリフトが良かったんじゃないのか”、と言われた時、が、そんなことありません。と言えていれば、さんも謝っていたかも知れませんよ」 「……ふむ」 言われて、確かに、と思った。売り言葉に買い言葉。ついかっとなって、もう知らない、と言ってしまったことを思い出す。 「ですので、100パーセントが悪くない、というのは、少し語弊があると思いますよ」 「うむむむ……」 眉根を寄せて、わたしは苦悩しました。 第四戦 意地を張らせたら天下一 |