「女の子は情熱的な告白が好きなんだよ」
「そうなのか?」
「もっちろん! 崖の上とか、凄い遠いところから大声で『好きだー!』とか言われたら、私キュンキュンだなぁ」
楽しそうに、そして嬉しそうに笑うエメロードの話を、熱心に聴いている瑠璃。
「ありがとう。参考にするぜ」
瑠璃はすく、っと座っていたイスから立ち上がり、爽やかな笑顔で礼を述べて、エメロードの部屋から出て行った。その後姿に手を振りながら「がんばって〜」とのんびりとした様子で応援した。
今から瑠璃は、に告白をしに行く。
勿論、エメロードから聞いた情報を参考にしながらだ。ひとまずを呼び出さないと。と思い、走り出したい気持ちを抑えてはや歩きにの元へ急いだ。だが、途中で気持ちを抑え切れなくて、走り出してしまった。にんまりニヤけながら走る瑠璃は異常だった。
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「、邪魔するぜ」
「あー瑠璃くんいらっしゃい。どうしたの? 急に?」
何も知らないは、いつもどおり朗らかな笑顔で瑠璃を迎えた。今日もやっぱりは可愛い。と高揚した気持ちのまま確認して、瑠璃はニヤつきそうになったが頬をひねってごまかした。
「ど、どうしたの瑠璃くん?」
「あ、いや、なんでもないんだ。それより、ちょっと出れないか?」
瑠璃の脳内プランはこうだった。と港町ポルポタへいく→入り江へいき、を砂浜で待機させる→俺、崖へいく→告白!!
といった流れだった。
「出れるよ。どこいくの?」
「ああ、ポルポタまでいこうかなって……」
「ふうん、結構行くね。わかった。じゃあ、準備してくるね」
準備を終えると、二人はポルポタへ向かった。
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潮騒の聞こえてくるポルポタは今日も人々で賑わっていた。
「何の用事なの?」
「ああ、ちょっとな」
の問いには答えず、意味深な笑顔を浮かべた。その笑顔には首をかしげ(瑠璃くんが笑うなんて珍しい……)なんて少し場違いなことを考えていた。やがて二人は、あまり人のいない入り江へとたどりついた。ここまでは計画通り。
「じゃあ、ちょっとそこで待っててくれないか?」
「? うん。どこいくの?」
「秘密、だ」
またも意味深な笑顔を浮かべ、瑠璃は崖へ急いだ。ざざーん、ざざーん、と波が崖にぶつかっては消えていく。そんな音を聞きながら、を少し待たせて、ようやく瑠璃は崖の一番先へとやってきた。崖の下にはが見える。
「ーーー!!」
腹の底から声を出して彼女の名前を呼ぶ。崖の下のが、風に乱れる髪を耳にかけ、耳のそばに手を添えた。どうやら聞こえているようだった。ここまでも計画通り。
「俺、が好きなんだ!!!!! 俺の恋人になってくれないか!!」
よし、よく言った!
と、自分を賛辞しながらも、を見ると、何か言っているようだった。だが、波音に邪魔されてうまく聞き取れない。瑠璃はの元へと向かうことにした。上機嫌に、鼻唄を唄いながら。
上手く伝わったかはわからないけれど。
「さっき、なんていってたんだ?」
「それはこっちの台詞だよ。波音がうるさくて、瑠璃くんがなに言ってるかさっぱりわからなかったよ」
悪意のない、屈託ない笑みを浮かべて残酷なことを言った。はっとした。波音が邪魔しての声が聞こえないっていうことは、即ちにも自分の声は届いてなかったと言うことだ。気分が高揚していて、そんな簡単なことにも気付かなかった。
瑠璃は顔が赤くなるのを感じた。
(で、なんていってたの?)
(……なんでもないぜ。)
(えー。すごい必死に叫んでたじゃない)
(……)