冬ときみ、絡める。





息を吐けばみるみるうちに白くなって、寒さを目でも感じる。
手先が寒さで感覚が遠のいくので、はあー、と息を吐きつけても、手は全く暖まらない。

「もう冬ですねえ。」
「本当にね。風邪ひくよ、。」
「でも、寒空の下、と二人でいるの、悪くありません。」

隣にいるを見上げて、にっと笑いかけた。彼は何も言わないままでを見た。
そんなことよりもの鼻が赤くなっているのに気が付いて、また寒さを見ることができたことに少し感動した。

って少し変わってる。」
「ええ?そうですか。」
「だって暖かい宿屋のロビーでも二人でいれるわけだろ。けれどは今、それではなく、寒空の下にいることを
 選んでいるわけで、普通に考えれば暖かい方を選ぶと思うんだ。」
は暖かいところに行きたいですか?」
「いいや、そういうわけじゃないよ。俺はのそばにいれればどこでもいい。」
「そうですか。」

そういっては頷いた。

「わたし、昔っから冬が大好きなんです。ほら、町中が綺麗に色づくじゃないですか。
 イルミネーションをああいう風にちりばめて。」

そういって彼女は少し離れた民家のイルミネーションを指差した。
そこだけでなく町中が、の言うとおり色づいていた。

「わたしはそれを見るのがとても大好きで。毎年この時期になるとサントハイム中を回ってたものです。
 いつか好きな人とこういった景色を見ることができたら幸せだなあ、って思ってたんです。
 そしたらほら、叶っちゃいました。」

なんて幸せそうな顔で言うのだろう。
この寒さの中で変な話だが、の心が自然と温まっていく。

「……にはかなわない。」
「へ?」

の手をとって、絡める。
手先が氷のように冷たくて、冷え症なんです。と言って、両手を擦っていたのを思い出す。

「これからはずっと俺とイルミネーションを見よう。もう一人でなんて見れないよ。」
「はい!!」

冬が始まる。色づく。
隣に君がいる。君が幸せそうな顔で景色を眺めている。
なんて幸せな季節なんだろう。