たちって、二人こどもいるよな」
「そうね」

 はちょっと抜けたところがあって、無邪気な笑顔が可愛い男の子。は優しくしっかりした、将来絶対美人になるであろう女の子。

「でもさ、俺たちってコリンズだけじゃないか」
「そうね」

 コリンズ。マザコンもマザコン。母親であるのことが大好きで仕方ない、小さい頃のヘンリーをそのまま再現したような子だった。

「もうひとり、ほしくないか?」
「……わたしはコリンズだけでもいいと思うよ?」
「ええーでも俺、似の女の子ほしいよ!!」
がいるからいいじゃない」
「違うんだ、聞いてくれ」

 ベッドの上で隣に座っているヘンリーがこほん、と咳払いを一つして神妙な顔をする。

「言われてみたいわけだよ。『大きくなったらパパと結婚するー!』ってさ。それでがやきもちやいて、『パパはわたしのよー』なんつってね」
「あほでしょヘンリー」
「いたって真面目だ!! 今夜あたりどうよ? コリンズもグランバニアにお泊まりいってることだし。」
「……いいけどさ、でもコリンズ大丈夫かな?こどもできて、わたしがそっちにかかりっきりになっちゃってるうちにいじけちゃって非行に走るとか……」
「ないだろそれは」

 言われて見れば確かに、お喋りもおぼつかないコリンズが非行に走るわけがない。せいぜい拗ねて城内のどこかに隠れるくらいだろう。

「それに、コリンズはと結婚するんだから、がかわいそうだろ」
「……え? コリンズとが結婚するの?」
「え、ちがうの?」
「いやいやそういうのって当人同士が決めることだし……」
「俺はとじゃないと認めないね! それで、次の子とが結婚するんだ」
「……そうですか。でも、女の子が生まれるとは限らないよ?」
「そしたら女の子が生まれるまでチャレンジだ!」

 力説するアホな旦那を苦笑いしつつも、ヘンリーと自分との間の女の子を想像してすこし幸せな気分になる。どんな子だろう。一般的に女の子は男親に似るって言うけど。



 名前を呼ばれ横を見れば、すかさずヘンリーが顎を持ち上げキスをする。角度を変えて幾度とかわされていき、ヘンリーの手がの服の中に侵入しようとしたそのときだった。
 ばんっ! と大きな音を立てて扉が開かれた。あわててキスを中止してそちらを見ると、「ははうえええええ!!!」と叫びながら泣き喚く我が子の姿とそのうしろに苦笑い気味のと顔を真っ赤にしてたじろいでいるフローラの姿。

「邪魔しちゃったみたいだね」
「ととととんでもないっ!! ていうかどうしたの、コリンズ」
「やっぱりがいないとダメみたいです」
「……家族計画は失敗か」

 コリンズがに飛びついてわんわん泣いている中、ヘンリーが心底残念そうに言った。それを聞いたがにんまり笑う。

「二人目?」
「そうだよ。今日はコリンズもいないから、挑戦しようと思ってたんだけど……」
「ま、まぁ……お邪魔してすみません」
「いやいや」
「じゃあ俺たちはそろそろ失礼するよ。ちなみにはもう別の部屋で寝てるんだ」
「……できたお子さんで」
「親に似たんだね。それじゃあおやすみ。お互い、いい夜を」
「あ、あなた……」

 が呪文を詠唱して、夫妻はグランバニアへ戻った。今夜はむこうの夫婦はステキな夜をエンジョイするのだろう。

「家族計画はコリンズがもうちょっと大人になってからに持ち越しだね」
「……だな」

 わんわん泣きじゃくるコリンズの背中を優しくさすりながら、落ち込んでいるヘンリーのほっぺにキスをした。