「「ちゃ〜ん!」」 「あーはいはいどうしたの?」 が泣きながら、が怒りながら、とフローラの行方を調べていたの元へやってきた。こうなるとたいてい何が起こったかは読めてくる。 「がっ、ぼ、僕のことを……っドジとかまぬけとかいったんだよっ……!」 「でもちゃん! 本当なのよ!? ってばさっきまちがえてお花にメラやっちゃって焦がしちゃって……お花さんがのドジのせいで可哀相だわ!!」 やっぱり。とは思った。たいていが何かをやらかして、それをが咎め、そしてが泣き出す。でもこれが天空の装備を装着できる勇者様なんだからオドロキだ。では重くて持ち上げるのもやっとだった天空のつるぎをはひょい、とまるでそこらへんに落ちている木の棒を拾い上げるように持ったのだから、間違いなく勇者なのだろうが。 「落ち着いてふたりとも。確かにはわざとじゃないけど、お花を燃やしちゃったね。それはお花さんが可哀相だよ。でも、間違えてやっちゃったことだからそれを責めちゃったらも可哀相だよ」 しゃがみこんで諭すように二人に言えば、二人は自分の過ちに気付いてしゅん、とうな垂れた。こどもは素直で可愛いなあ、と思いつつ、反省している二人の頭をくしゃ、となでつけた。 「反省したかな?」 「「うん……っ」」 「じゃあまず、はにあやまろっか? 言い過ぎちゃってごめんね。って」 「うん! 、ごめんね?」 「僕こそごめんね」 「じゃあはお花を燃やしちゃったバツとして、燃やしちゃったお花のかわりのお花を植えようか?」 「うんっ!!!」 「私もてつだうよ!」 天使のような笑顔だった。そんな笑顔に癒されつつ、二人の手をひいてグランバニア城にある花屋へ向かう。途中サンチョに会い、「まるで親子ですね〜お嬢様たち」と微笑まれた。 彼らにとって母親変わりになれたらいいな、なんて思ってるは、その言葉が嬉しかった。 もフローラも消えてしまって、親の愛情を受け取らずに成長してしまった彼ら。その成長をサンチョと自分で見守ってきて、ひたむきに両親探しを頑張る姿には胸を打たれる。 「ちゃん」 「なあに」 「ありがとうね。ちゃんがいてくれて嬉しい」 「それ私も思ってたよ! ちゃんがお母さんみたいで、嬉しいの」 「ふふふ。わたしにとってももわたしのこどもみたいなものだからね」 花屋で花の種を買って、事件現場である城の外の庭へつくと、一部焦げているところがあった。 とが走っていき、汚れることなんて省みずにせっせと地面を掘っていく。そして買った花の種をそっと入れて、土をかけた。 「ごめんねお花さん、もう二度とこんなことしないようにするね……」 が両手を合わせて目をつぶり、そっとつぶやいた。ちいさいころのを思い出してなんだか胸が切なくなった。 「お兄ちゃんも昔、とおんなじことしてたよ」 「お父さんが!? わあ、そうなんだー」 「間違って花壇踏んづけちゃってさ、半べそかきながらお花に謝ってた」 とても綺麗な昔の思い出を、慈しむように瞳を細め語る。 「はにそっくりだよ。ほんとうに。顔も中身もね」 「よくいわれるよ。嬉しいな。まだみたことがないお父さんが、僕の中にいるみたいで」 「は顔がフローラに似てるんだけど、性格はどうなのかな? フローラはおっとりしてたんだよ」 「じゃあもしかしたら、ちゃんに似たのかもね?」 「ふふ、そうかも」 この子達に少しでも自分の何かが入っているなら、それはとてもステキなこと。 「ほんと、僕のお嫁さんにほしいです!」 「「「ピピン!?」」」 いつのまにやら隣に居たピピンにぎょっとする。彼は幸せそうな顔だった。すると双子に両手を取られ、走り出す。 「ピピンのやつ、すぐちゃんに近づいてきて!」 「私たちがちゃんのこと守らなきゃ!」 「そんなぁ〜待ってくださいよ!」 どうやら二人にとってピピンは要注意人物らしい。愛されてるなあ、なんて感じつつ、少々悪ノリをする。 「ありがとう二人とも。素敵なナイトね」 「さま!? ひ、ひどいです……こんなにも好きなのに!」 といって投げキッスをしてくるピピン。とが同時に振り返り、ひどく恐ろしいものを見たような顔をした。 「きっ、きもちわる!!」 「急ごうちゃん!」 「待ってくださいよー!!」 世界の平和はの手を引く彼らに託されている。その彼らに手を引かれ、守られている。 なんだか素敵な立場だ。 お花を植えましょう |