「ねえねえ、クリフトとって付き合ってるの?」
「へ! 付き合ってないよ」

 わたしとクリフト? まさか。そんなこと言われると思わなかった。驚くわたしに対してマーニャはどうにも腑に落ちないらしく、「ウソだろ? 本当は付き合ってるんだろ」と食い下がる。

「本当に、付き合ってないよ」
「そうなんだ。てっきり付き合ってると思ったよ」
「ありえないよ。わたし……好きな人いるし」
「もしかして、?」
「うん、……好き。誰にも内緒ね、まだアリーナとクリフトしか知らないの」

 かなうわけがない。相手は”。”あの、””だよ。頭もいい、スポーツもできる、人当たりもいい、かっこいい、やさしい、チャラチャラしてない。それでいて、どこか陰のある。こんな王子様みたいな人、モテないわけがなくて。先輩からも後輩からも、わたしたち、タメからも絶大な人気。誰がを好きでも、きっと不思議でない。お前も好きなのか。と思われるのが嫌で、わたしは幼馴染のアリーナとクリフトにしか打ち明けてない。のだが、ぽろっといってしまった。まあいいだろう。
 アリーナは、がかっこいいし、モテることを認めているけど、好きではないみたい。

『ああいうの、タイプではないわね』

 そういっていた。

 なぜわたしの好きな人が一発でわかったのだろう。と不思議に思ったが、たぶん部活が一緒だからだろう。かくいうマーニャも、同じ部活。といっても、正式な部活ではないから、顧問がいるわけではない。
勝手に集まって遊んでいる集団。それが我ら「導かれしものたち」。でも、そんなに仲良くないと思うんだけどな。自分で言って悲しいけど。
 メンバーはわたし、アリーナ、クリフト、マーニャ、ミネア、そして 。面白いメンバーだろう。アリーナとがもともと仲が良くて、こういう非公式な部活を作ろう! となって、わたしやクリフトが誘われたのだ。そしてたまたま近くにいたマーニャとミネアも入った。こうしてできた導かれしものたち。トランプをしたり、自転車に乗って近所を飛び回ったり、とにかくいろいろなことをしている。
 そんなこんなで、の姿を見つめながら授業は進み、あっという間に放課後はやってきた。

「今日は、二人一組になります。そんで、一番面白い写メをとれたペアが勝ち! どう?」
「アリーナ様、それすごい面白いです! じゃあ、ペアに……」
「グッチョッパするわよーー!!」

 グッチョッパのルールは簡単。グーかチョキかパーを一斉にだし、同じものを出した者同士がペアになる。

「じゃあいくよー。グッチョッパ!」

 一度ですんなり決まるわけもなく、何度かグッチョッパを繰り返し、ペアが決まった。アリーナとマーニャ、ミネアとクリフト、そして……わたしと、 。正直叫びそうになりました。グーを出して、とペアが決まった瞬間。おー! とか言いながら、ペアとなったの隣にすっと寄っていき、頑張ろう! と笑いかける。すると、

「絶対勝とうね」

 っていって、すごい綺麗に笑うから、わたしの胸は一回、急にぎゅっと縮こまって、そしてすごい速さで心臓が動き出す。血液が顔に集中するのがわかったから、そんなところ見られたくなくて、顔を慌てて下げる。

「よーし、開始!」

 そのアリーナの言葉を皮切りにペア同士で四方八方にかけていったのをきっかけに、わたしも顔を見られないようにしながら、

「いこっか」

 といってひとり駆けだした。

「どこいく?」

 すぐに追いついたが隣を走る。それだけでわたしはいっぱいいっぱいになってしまう。

「どうしよう」
「おれに考えあるんだよね」

 お互い歩みを弱めて、早歩きぐらいになる。

「なあ、に?」
「理科室、いこう」

に手首をとられた。その瞬間、頭が真っ白になる。の体の一部とわたしの体一部がふれあっている。いやこれは大げさな言い方かもしれないけど、でも、間違いじゃないよね。好きな人と肌が触れ合ってるって、こんなにも混乱させられるなんて。

「ついた」

 理科室につくまでの間、わたしは何もしゃべることができなかった。理科室の扉を開けて中に入ると、の手はそっと離された。ほっとした気持ちもあったけれど、正直残念な気持ちのほうが大きかった。わたしの少し前にいるは前を向いたまま、こちらを振り返らない。それでいて何もしゃべらない。かといってわたしからしゃべり始めるにも、話題がなかった。いつものわたしなら何か喋れたかもしれないけれど、あいにく今は頭がうまく働いていない。

「ごめん、嘘ついた」

 前を向いたままがしゃべる。

「本当はなんの考えもないんだよね」
「え?」
「おれ、ただ、にいいたいだけなんだ」

 くるり、が振り返った。夕焼けが後ろからさしていて、がどんな表情しているかわからない。
 なにを、いう気なんだろう。

「おれ、のこと好きです」
「!!!!」
「好き、好き、好き、ほんと大好き」
「!?!?」

 驚きのあまり何も言えない。何も考えられない。

「おれと付き合って」
「ほ、ほんき?」
「嘘でこんなこというわけないじゃないか」
「うそだ、だって、がわたしのことを好きなんてありえ―――」
「なんでそう思うの? おれ、ずっとのこと好きだよ。ずっと……好きだ」
「わ、わた、わたしのほうが、ずっと、好き! ずっとずっとすき!!」
「ほ、ほんと? ほんと!?」

 顔が熱くて、恥ずかしくて、顔を見られたくなくて、ぱっと顔を両手で覆う。すると不意に抱きしめられたような感覚になった。手をずらして状況を確認すると、に抱きしめられている。

「やだ? 誰かに勘違いされたら困る? ならすぐ離れるよ。」
「ううん、勘違い……されたい」
「おれと、付き合ってくれますか」
「……はいっ」

 うれしくて、ぽろぽろと涙が出てきた。に抱きしめられてるよ、告白されたよ、付き合えたよ。身体に回された腕に、ちょっと力が込められて、一層強く抱きしめられる。地球上のすべてのものに感謝したい。ありがとう。ありがとう。、大好きだよ。





君が好きなんだってば。



「「!!!!」」
「まあ、優勝はこれねー。」

アリーナのケータイに写っているのは。抱き合っているわたしたちの姿。
いつの間にやら見られていたというわけだ!恥ずかしいのなんのって!
ああ、それより付き合ったこと報告しなきゃ!!ああもうーー!!! 幸せです!!!

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ヒロインの口調を敬語外してみたんですけど、違和感が!
めるふぉからいただいたお言葉にそそのかされて、ついに学パロにちょうせん!初めて書いてみました!
あーヒロインの口調どっちのほうがいいんでしょうか。まようーっっ!
どちらのほうがよかったでしょうか?よければ教えてくださいなっ♪(笑)
というよりなんでもどうぞ!!!!こんなのかいてみたらー?とか大歓迎です!というか、お待ちしております(*´ェ`*)

 
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